夫婦間の暗号

ある80代のお婆さんが、当時は元気にゲートボールをご夫婦で楽しんでいました。ところが、だんだん、認知症が出始めました。同居している若嫁さんは素晴らしい人なので、この義母の面倒をみていました。自分の夫の事も分からなくなってしまった義母。90歳近くまで自宅でお嫁さんのお世話になっていたと思います。昔の歌は覚えているらしく、自慢そうに私達に聞かせてくれる人でした。認知症と言っても、徘徊をするタイプだったので、お嫁さんは毎晩付き歩かないとなりません。根気よく歩いていました。面白い事に、自分の夫の顔を覚えていないこの義母は、夫の浮気を心配していると言う事を知ったのですよ。夫と言っても、90歳近い妻の夫ですから同年代の夫です。この夫も病気はありますが、生きていらっしゃいます。夜な夜な、この老婆はある一軒の家のチャイムを鳴らします。困った行為ですね。この一軒家にも老婆がいます。この老婆と自分の夫が不倫をしているという被害妄想に捉われているらしいのです。

あり得ないのです。近所でも、有名になりましたよ。この老婆の行動は・・。しかも、付き歩くお嫁さんを近所の人達は「良く相手をしてあげてるね」と言っていました。何歳になっても、しかも認知症になっても夫の浮気を心配するとは・・。やはり「女」なのですね。そのくせ、本当の夫が食事をする為にテーブルにつくと、「あんた、自分の家に帰りなさい。毎日毎日人の家でご飯を食べて。」と言う始末ですから、この認知症の心の中はどんな感じなのでしょうか?しかも、本当の夫と同じ押し入れにお布団を入れたがらない。どう言う事?わざわざ大工さんに頼んで、別の場所に押し入れを作って貰ったのですよ。

本当の夫を他人だと思っているのですね。そして、90歳近い自分に「言い寄ってきている」と勘違いしているのでしょうね。だから、お布団も一緒に仕舞いたくないし、ご飯も一緒に食べたくないのでしょう。そのくせ、夜は夫の浮気を心配して、ある家のチャイムを鳴らす。これは矛盾していると思います。それが認知症の不可思議なところと言えますね。この老婆が楽しくゲートボールを夫婦でしていた頃に、夫は人気者だったのかも知れませんね。だから、あの一軒家の老婆宅のチャイムを鳴らして、「主人がいませんか?」と夜中訪ねるのでしょうね。ボケても嫉妬の炎は消えない事を目の当たりにみました。今は特養のお世話になっていると言うこの老人です。お嫁さんも大変お疲れになった事でしょう。今は、舅の世話をしていらっしゃいます。作り酒屋から嫁いで来られたこのお嫁さん。自分の親もいらっしゃると言うのに・・。近所の人の応援は彼女に元気を与えていると思いますよ。誰もこのお嫁さんを悪く言う人はおりません。嫁いできた時は、相当この老婆である姑にいじめられていたと言うのに・・。それでも、舅・姑につくしてきたお嫁さんを尊敬します。夫の家族と同居する事の難しさは、人間関係は言うまでもありませんが、介護問題もあると言う事を忘れてはなりませんね・。それまで持たずに、別居なり、離婚をしてしまう現代かも知れませんけどね。

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